The Klein-Gordon Field (2)
2.2. Elements of Classical Field Theory
この節では,後の場の量子論の議論で必要となる古典場の理論を学ぶ.
■ Lagrangian Field Theory
古典力学の基本的な量は作用 で,それは Lagrangian の時間積分である.局所場の理論では,ラグランジアンは で書かれるラグランジアン密度の空間積分で記述され,場 とその微分 の関数である.つまり,
最小作用の原理とは,ある系が時間 から の間に時間発展するとき,作用 が極値(普通は最小値)となるような経路に沿うということだ.
我々はこれを次のように書く.
最後の項はガウスの定理から表面積分へと変形され,積分領域の境界で とすると,この項はゼロとなる.したがって,任意の に対して上式が成り立つ条件から,場に対する Euler-Lagrange 方程式が導かれる.
■ Hamiltonian Field Theory
ラグランジアン形式の場の理論は,明らかにローレンツ不変な式で記述されるので相対論的運動に適している.しかし,ここでは量子力学との対応が容易いハミルトニアン形式を学ぶ.
離散的な系では力学変数 に対して,共役運動量 (ここで, ) を定義でき,ハミルトニアンは であった.
さて,
ここで,
は, に共役な運動量密度と呼ばれる.こうして,ハミルトニアンは次のように書ける.
また,系が連続的なときは次のようになる.
単純な例として,以下のラグランジアンを考える.
ここでは として実数値の場を考える.このラグランジアンに対する運動方程式は,ふつうに計算すれば求まる.
を用いれば,
また,
これらを場に関する Euler-Lagrange 方程式に代入すると,
を得る.これはよく知られた Klein-Gordon 方程式である.また, に共役な運動量密度は であることに注意すれば,ハミルトニアンは,
となる.3つの項はそれぞれ,時間内の移動のエネルギーコスト,空間内の剪断のエネルギーコスト,場を周囲に持つエネルギーコストとして考えることができる.