The Klein-Gordon Field (3)
■ Noether's Theorem
次に,Noether の定理にまとめられた,古典場の理論における対称性と保存則の関係について議論する.この定理は,場 に関する連続変換に関するもので,無限小形式では,
と書くことができ,ここで は無限小パラメータ, は場の変化である.我々は,運動方程式が不変である場合にこの変換を対称性と呼ぶ.これは,作用が (2.9) の下で不変の場合に保証される.より一般的に,我々は作用を表面項によって変化させることができる.なぜなら,そのような項の存在は Euler-Lagrange の運動方程式 (2.3) の導出に影響を与えないからである.よって,ラグランジアンは (2.9) の下で任意の に対して,4元 divergence まで不変でなければならない*1.
また,
として, を計算していく.
第二項は Euler-Lagrange 方程式 (2.3) によって消えるので,
となる.電荷保存の式 の 倍を引いて,
これが に等しいとして,次式を得る.
この結果は流れ が保存されていることを示している. の各連続対称性に対して,このような保存則がある.また保存則は,電荷
が時間的に一定であるということによっても表現できる.なぜなら, より, であり,両辺積分すると,
右辺は表面項ゆえゼロとなるので,
を得る.
このような保存則の最も簡単な例は,運動項のみのラグランジアン: から生じる.変換 は, を不変のままにするので,流れ が保存されていることがわかる.
次の例として,ラグランジアン
を考える.ここで, は複素数値の場である.このラグランジアンに対する運動方程式が Klein-Gordon 方程式 (2.7) になることは容易に示すことができる.さて,このラグランジアンは変換: の下で不変である.無限小変換なので, とも書ける.これらから,以下の関係式が得られる.
つまり,
(ここでは と を独立な場として扱う*2.あるいは, を実部と虚部にわけて考えることもできる*3.)
このとき,保存された Noether current が
であることを示すのは簡単である.方針としては,変換: でラグランジアンがどのように変換されるかを調べればよい.
より,
これより, となり,保存する current は,
となり,示された.また,この current の divergence が Klein-Gordon 方程式を使うことでゼロになることも確かめることができる.
ここで,Klein-Gordon 方程式: より,
なので,代入して,
となり,確かめられた.後にこのラグランジアンに項を付け加え,電磁場へも理解を広げる.
Noether の定理は,平行移動や回転のような時空変換にも適用できる.無限小変換
を,場の変換
として書ける*4.このときラグランジアンがどのように変換されるかを調べる.
ここで,
ゆえ,
となる.この式を (2.10) と比較すると,今,ゼロでない があることがわかる.(2.11), (2.12) のときと同じような計算を行うと,
第一項は Euler-Lagrange 方程式よりゼロなので,
となり,これが に等しいとする.
これは正確には,場 中のエネルギー運動量テンソルとも呼ばれる,応力エネルギーテンソルである.
ここで,添字の上げ下げをすると,
よって,
これより 成分と 成分が計算できる.
以上より,時間変換に関する保存された charge*5 は,ハミルトニアン:
であり,空間変換に関する保存された charge は,
である.我々はこれを場によって運ばれる(物理的な)運動量して解釈する(正準運動量と混同しないように.).
についての補足
これも Noether current の1つであり, を満たす.つまり,
両辺積分すると,
となる.第二項は表面項ゆえゼロとなり,第一項から上の (2.18),(2.19) が導かれる.また,(*) は連続の式ゆえ,第二項は湧き出し(あるいは流れ)と解釈できる.
(2.18) は に対応しており,このとき第二項は である.これはエネルギーの流れである.また,(2.19) は に対応しており,このとき第二項は である.これは運動量密度の流れである.